2022年度 基本方針

一般社団法人伊那青年会議所2022年度基本方針

想いをつなぎ、ともに未来へ

はじめに

   1949年、戦後の混沌とした時代の中「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という覚悟のもと、青年たちが立ち上がり、日本の青年会議所運動がはじまりました。その運動は全国各地に広がり、この地でも地域社会発展の意気に燃えた正義感と行動力を持つ青年が集い、1968年、スポンサーJCの飯田青年会議所、隣接の駒ヶ根青年会議所の多大なるご尽力のもと、県内で10番目、全国で383番目の青年会議所として伊那青年会議所(以下、伊那JC)が産声をあげました。以来54年の歴史の中で、その時々における課題と向き合い、地域のため・未来のために日夜活動をしてまいりました。この長きにわたり、先輩方が築き上げて来られた伝統、文化、歴史、そして地域からの信頼がこの地にはあります。毎年組織が変わり、卒業という節目がある中で54年という歳月は非常に尊く、これまでバトンをつなぎ続けて来てくださった先輩方、ご協力いただいた地域の皆様への感謝は尽きません。現在、私たちは人口減少・社会保障問題など長年の社会課題に加え、温暖化に伴う自然災害、感染症への対応など多くの課題を抱えています。特に2020年に突如始まった新型コロナウイルス感染症の蔓延は未だ収まらず、社会のあらゆる面で「分断」「共存」という言葉が使われています。経済においては業種によって景気回復への大きな違いが表れ、地域社会においては感染への恐怖感から生まれる誤解や偏見、言われなき社会的批判により多くの人が傷ついています。また、物理的に人と人との距離をとらなければならなくなったことで必然的にデジタル化が加速し、社会生活は維持され、少し物足りなさを感じながらも、新たな生活スタイルが根付きはじめています。当たり前が当たり前ではない時代となった今、「分断」してしまった社会や人をもう一度つなぐためには、「これまでの当たり前」への感謝を忘れず「未来の当たり前」に目を向け、歩みを進め続けていくことが大切だと考えます。55年目の節目を迎える今、これまでの軌跡を振り返るとともに、設立趣意書にある「若き世代の力を結集することにより十の力を百にも発揮できるものであります」の「若き世代の力」を結集し、今できることを最大限考え、運動を実施していきます。

新たな生活スタイル×地域への愛着(つながり創出委員会)

   元来からある歴史・伝統・文化や地域特有の自然環境、脈々と続いてきた食文化や習わしといったものは、その土地にいなければ味わいづらい五感によって感じる地域独特の魅力でありながら、日常では当たり前の光景・感覚となっています。そして、これまで雄大な山々に囲まれ比較的災害の少ない地域として生活してきたこの地においても、温暖化の影響により年々その発生頻度・規模は大きくなり十分な備えが必要です。しかし、昨今の核家族化、生活スタイルの変化などに伴い、人間関係の希薄化、住まう地域への関心低下が問題視される中、感染症拡大により人と人、人と地域のつながりの機会がますます失われ、地域への関心・愛着が薄れることが危惧されています。また、生産性を高めるために推進されてきたデジタル化・オンラインサービスは利便性が増し、日々の仕事から趣味や冠婚葬祭といった普段の生活にも拡充したことで、これまで住む場によって制限されてきた参加が可能となりました。そうした環境を受け入れながら、私たちが培ってきたアナログ、つまり直接的な人や場とのつながりを融合し、世代を超えたつながりある地域を創りあげるにはさらなる工夫が求められます。私たちは同じ場所で過ごしていても、時代によって風景や過ごし方、思い出は違い、世代によって感じてきた想いや魅力を知ることは、他の世代にとって地域の新たな魅力を発見する機会にもなります。行動に制限がかかる今こそ、その両端とも言えるそれぞれの特性を活かし、とことん地元を深掘りし、知り、共有できる場を創出することで、地域への愛着が高まるきっかけを生み出します。

環境の変化×青少年の育成(青少年委員会)

   私たちは情報通信技術の進展により、スマートフォンに代表される端末を1人1台持ち、関心ある情報を簡単に手に入れられるようになりました。それは大人だけではなく、子供たちにおいても同じであり、幼少期より身近な生活道具の1つとして使いこなす中で、疑問や関心ごとに対する答えを準備するという点においては私たち大人より早く、多くの答えを手に入れられるのかもしれません。しかし一方で、情報を手に入れられるようになったことで知識が先回りし、間違えてはいけない、周りの人に合わせなければならないという考えを持ち、自分の意見を伝えることに苦手意識がある子供たちが増えているように感じます。それは同時に自分とは違う考えを聞くこと、それを受け入れる機会が減っているということでもあります。この2年間で大きく生活が変わったように、今私たちが常識だと思っていることが数年後には常識ではなくなることも多く考えられます。子供たちは皆、将来に様々な可能性をもっています。そしてそれぞれのもつ個性によってその可能性も一人ひとり異なります。子供たちが自らの可能性を伸ばし、自分らしく生きるためには、現在の常識や観念、ほかの誰かの主張だけにとらわれず自分で考え、表現できる勇気をもつことが大切です。普段の習慣から少し離れ、楽しみながらも考え、想いを伝え、成功体験を積み重ねることで自分に自信を持ち、表現できる力、何度でも挑戦していける力を身につける場を創出します。

拡大活動×会員同士のつながり(拡大交流委員会)

   明るい豊かなまちづくりを永続的に目指す私たちにとって、地域のことを真剣に考え、ともに行動できる仲間との縁は大切にしなければなりません。伊那JCはこの54年間の間に600名近い会員が所属し、運動を展開する中で多くの礎を残して来られました。今後も私たちの活動が地域に大きな影響をもたらすためには、私たち自身が行う妥協のない運動と、情熱を持ちひたむきに活動する姿に共感・応援してくれる方々を増やすことが大切であり、そのためには会員一人ひとりの積極的な参加と会員同士のコミュニケーションが必要不可欠です。入会のきっかけは社会貢献、自己成長、人脈作りと人によって異なりますが、入会後、会員同士がお互いを知り、価値観を共有し、多くのアイディアを出し合える関係性が妥協のない運動へとつながります。この数年、所属年数の長い先輩方をはじめ多くの卒業生を送り出し、今年度も現会員の約4分の1にあたる10名の卒業を控えています。近年、全国的にJCに限らず社会のコミュニティに所属することを避ける若者が増えています。しかし、私たちの地域にはまだ地域に対し、子供たちに対し、そして自分自身に対して夢を描き挑戦しようとしている人材がいるはずです。そしてJC活動・運動はその挑戦への背中を押せる場です。候補者それぞれの求めていることを知り、例会・事業への参加を通してJCの存在を身近に感じてもらうこと、また参加した時に良い雰囲気で迎えるためには全委員会・全会員が協力し合い会員拡大を意識することが大切です。近年外部環境に左右され、集う機会が減った現役会員はもとより、新たな仲間もしっかりと受け止め、交流の場を活かしてともに地域を牽引していく伊那JCの一員であるという意識を高めていきます。

資質向上×戦略的広報(総務広報委員会)

   現在、私たちは直接会う機会が減り、細かい情報の伝達や想いの共有が難しくなっています。しかしそういった環境も3年目となり今後も非対面、つまりオンラインを活用した例会や会議、そして対外的な事業を実施する可能性があることを考慮すると、私たち自身がその環境を前向きに受け入れ、活用できるよう体制を整えることが求められます。また情報の伝達は対内・対外ともHPやSNS、広報誌といった情報を発信する手段は数多く存在し、求められる情報が求められるカタチで発信できていることが大切となります。そのためには、手段によってその役割を明確にし、使い分けるなど工夫が求められます。そして対外に向けた発信情報の役割は今年度の事業募集・報告を知らせることに留まりません。私たちが1年間に展開できる運動の数は限られますが、事業の背景・目的・結果が伝わるよう記録を残し、蓄積していくことにより、伊那JCの軌跡を伝えることができます。また、私たちの活動圏域と呼ばれる範囲が伊那市・辰野町・箕輪町・南箕輪村の4市町村からなることが伝わるよう行動を起こし、地域への認知度をより高めることでさらに運動に賛同・応援していただける仲間や団体の輪を広げていきます。

おわりに

   アフリカの諺に「早く行きたければ独りで行けばいい。遠くへ行きたければ皆と行くのがいい。(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)」という言葉があります。私たち青年会議所の目指す「明るい豊かな社会の実現」は大切な人、大切な場所、そして未来を想う気持ちの延長線上にあり、その原点にある「想い」を持つことによって地域のために活動することができます。これまでにも多くの先輩方がそのような想いを持ち、活動・運動してきてくださったことで当たり前のように豊かな生活を送ることができました。今度は私たちがその想いをつなぐ番です。環境によって生まれる壁に思考を止めるのではなく、他の道を探し、歩みを進め続けることが大切です。JCでともに過ごす仲間・時間・経験は一生の宝となります。その宝を一人でも多くの仲間と共有し、支え合い、力を合わせ地域の課題解決に取り組むことにより、育ててくれた地域へ感謝の想いを行動に表すことができます。「未来の当たり前」は想像の先にあり、すぐにたどり着ける場所ではないでしょう。迷うこともあるかもしれません。だからこそ同じ時代に生まれ、数多ある人生の分岐において、縁あって同じ地域に住み暮らす私たちは志を一つに活動して参ります。